タイに住んでいながら、「今日は暑いですね」とか、「昨日はそんなに寝苦しくなかっよなぁ」と、まるで四季のある国のような会話ですが、実際、おもいっきり暑いときは四十度を越えますし、涼しいときは十五度ぐらいまでに下がります。ただ単に暑いだけじゃないんですよね。
現在のバンコクは、日中平均気温約三十五度をキープという感じでありますが、日本の皆様はいかがお過ごしでしょうか?(日本の夏 by○鳥) 特に都会住まいの方、クーラー熱とかで余計に暑くなっておりませんか? 夏バテ対策はいかがでしょうか?
ということで、今回は夏バテ対策食品フロムタイランドということで、「パット・バイガパオ○○」というものをご紹介しましょう。
えっ? なぜ伏字? ハイ、今回のこの伏字の中には食材名が入ります。つまり豚、牛、鶏、海老でもなんでもOK。料理の性質上、ひき肉の方がおいしいかもしれません。タイにロケに来たことがある方は、この料理を知らないうちに口にしていたかもしれませんね。
さて、このパットというのは単純に〝炒めもの〟を指します。後半の〝バイガパオ〟ですが、とある料理雑誌にとある有名人が「〝ガパオ〟とはひき肉をナムプラーで炒めたものだ」と堂々と説明しておりましたが、ちがう~~~! バイガパオとは実はこれ、バジルの葉っぱのことです。イタリア料理じゃないのになんで・・・とおっしゃるな、実はタイだけでなく東南アジアは、スパイス・ハーブの産出国でもあるのです。胡椒なんかはもともとタイで採れていたのです。逆に有名な唐辛子は実は輸入品だったのです。
まぁ、この話はおいといてこの料理、非常に簡単に作れます。しかもウマい、ご飯に良く合う。ということでどこの屋台でも必ず出てくる料理のひとつです。醤油色に染まったひき肉、赤と緑のみじん切りの唐辛子、そして同じく緑のバジルの葉っぱがいいアクセントになり、なかなかきれいな色合いに仕上がっています。ピリッとくる濃い目の味付けのひき肉、そしてバジルの香り。失われた食欲も戻るでしょう。
ハイ、ではここまで来たらもう皆さんご自分で作るしかありません。なに、今回の料理は非常に簡単。難しい食材もありませんので、「一本いくゥ~~」のノリで作っちゃいましょう。でも注意! 換気扇は最大風速にしておいてね。まず、ご用意いただくのは生の唐辛子。なければ鷹の爪を水につけて戻しておいて下さい。そしてニンニク。この二つを自分の好みの量だけみじん切りにして下さい。
次に、大きめの中華鍋を用意して熱しておきます。いや別に普通のフライパンでも良いのですが、なんとなく気分ということで。
油大さじ二杯を熱した中華鍋に入れ、煙が上がったら先程みじん切りにした唐辛子・ニンニクをそのまま鍋に入れます。ジュ~ッとなったらそこで大きく深呼吸二回。そうすると非常に苦しい目に遭うことができます。どのくらいかといいますと、龍角散を喉に入れるときに間違えて鼻に入って、顔中の器官をめぐっているような感じ…。わからなければ実際やってみて下さい。絶対に後悔します。
さて。地獄の煙を吸い込まないように注意しながら炒め、ニンニクが狐色になりましたら好みのひき肉を入れます。五分通り火が通ったら味付けです。昔は味の基本はナムプラーだけだったそうですが、最近はオイスターソースを入れたり、醤油を入れたり 砂糖で味を調整したりと、自分好みの味付けや色合いがよろしいようです。
味付けをして炒め続けて下さい。九分通り火が通りましたら、バジルの葉っぱを切らずに自分の好みの量だけ入れて、ざっとかき混ぜておしまい。
でもまだ完成ではありません。
次に別のフライパンを用意。フライドエッグを作ります。目玉焼きではなくフライドエッグ。
油を多めに入れて、天ぷらを作る気分で卵を揚げて下さい。ただし半熟厳守。白身がプクーッとなったらOK。
ご飯を大皿の上にこんもり持って、先程炒めたひき肉を汁ごとご飯の上に乗せ、フライドエッグを脇に置いてこれで完成。後は卵の黄身をくずし、混ぜ混ぜしながら食べて下さい。ほら簡単でしょう。ひき肉のそぼろ炒めを作っているノリでやっていただければ簡単、簡単。
なお、いくら自分の好みの量で唐辛子を入れたとはいえ、それを直接噛むととても辛いですし、次の日のお手洗いで痛い目に遭いますのでご注意ください。
文: おもだか まさし