このところタイが涼しい毎日です。下手すると夜なんか寒かったりします。じゃぁ寒い時は鍋料理でも食べますかという事でタイスキの紹介でも。
タイに来た方々でこれを食べなかった人達はほぼ居ないんじゃないかと思われるぐらい有名で、今では日本国内にもタイスキ有名店の支店があるほどです。どんな料理かといいますと、寄せ鍋です。寄せ鍋をタイ風の辛いタレで食べるだけなんですけどね。で、ちょっと待てじゃぁ、なんでタイスキなんだ?どーみてもシャブシャブのの名前の方が正しくないか?という疑問が出て来ます。これは確かに筆者も疑問でした。そこで、筆者が昔とあるタイスキ有名店を取材した時の話をひとつ。
当時このタイスキ店はNo.1の店でした(今じゃ別のチェーン店に追い抜かれてしまっておりますが)。お店のオーナーにインタビューしたところ、昔はタイに鍋料理みたいなものは無かったそうです。第2次世界大戦中、タイに構えていた日本軍の兵隊さん達がなにやらテーブルを囲んで食べていたそうです。いい匂いがするので、それは何ですか? と当時の若いころのオーナーさんが聞いたところ「これはすき焼きっていう食べ物だよ」と教えてくれたそうです。聞くところによるとこの料理は大勢で食べるのが便利で栄養もある料理だという事でした。戦後日本軍がタイから去った後、職を失ったオーナーさんは、この時の料理を作って出してみようと思ったそうです。そんなわけで語呂がよかったスキヤキの名前を取ってタイスキって名前にしたらしいのですが、どうやらこれは、当時インタビューしたオーナーがちゃんと紹介することを面倒くさがったのでいい加減に答えた内容だったようです。
本当は中国にある火鍋と呼ばれる鍋料理が基にあり、それをタイに持ってきて店を出しました。そして、火鍋をタイ語にする時に当時世界中でヒットしタイ人なら誰でも知っている「上を向いて歩こう」の英語タイトル「SUKIYAKI」から取って来て(料理の方法も近いものがあるので)SUKI。そしてタイ国のタイを合わせて『タイスキ』 という言葉が出来ましたってのが真相のようです。
このタイスキ、野菜を食べるチャンスがいまひとつ少ないタイ人にとって野菜を大量に取る事の出来る料理でもあります。具に贅沢を言わなければ非常にリーズナブルな食事でもあり、学生から家族までみんなで揃って食べる代表的な料理になっております。
作り方は寄せ鍋なのである物をぶち込んで煮て火が通ったら食べていくだけです。この鍋のポイントはそれを食べさせるタレにあります。絶対に秘密で教えてくれないものなのですが最近は研究が進んで(誰が研究したんだろう?)今ではスーパーでも入手が可能です。
基本的にはチリソース、当時タイではソース・シーラチャーと呼ばれた甘みのある、酢、唐辛子、ニンニク、砂糖、塩をベースにした一瞬ケチャップと間違えそうなソースです。これに更にゴマやら、パクチーを刻んだもの、ライム汁を加えたりして調整します。好みで紅腐乳とよばれる豆腐を発酵させた物体を少々入れたりもします。
まぁいつも鍋はポン酢で食べて、そろそろ飽きたなって時にはお試し下さってもよろしいのではないかと思います。上記タレ用のベースのチリソースはアジアの食材を扱ってるお店で入手が可能です。
このタイスキを日本の方々が食べてました。これはスキヤキじゃなくてしゃぶしゃぶだが、うまいものである。よしじゃぁシメにオジヤだ!ご飯を持って来い。と日本人には当然の流れなのですが、びっくりしたのがタイ側。タイ人は最初のうちにご飯と一緒に食べたり、シメに中華麺をいれたりしますがご飯をいれてというの初体験! 初めの頃(1970年代後半)は非常に驚いていたのですが、だんだん、それが普通なんだと思うようになってきたようで、最近はタイ人テーブルでも同じようにオジヤをつくる事があるそうです。お店側もちゃんと微塵切りにした葱、ポン酢っぽいものまで用意してます(笑い。
では、暑い時に熱い物を食べるのが健康によいという事でタイスキでした。でも寒い時に冷たい物を食べるとお腹を壊すので注意です(あれれ・・・)
文: おもだか まさし