雷魚 - Asia Production Service Co.,Ltd.

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雷魚

雷魚

なんでも日本はいろんな動物が勝手に入ってきて、日本古来の生態系がどんどん崩れているそうな。
困ったもんですね。
で、その中の一つに雷魚という魚があります。

非常に獰猛な魚で今で言うブルーギルやブラックバス並みに正直邪魔物であります。しかしながら、実は食べると美味しく、中国・台湾・東南アジアでは常食の一つです。とても生命力が強く、なんと言いますか身体が湿ってさえいれば水の中じゃなくても平気で生きてる。タライの中のお情け程度に張った水の中をうねうねと、まるで蛇の様に動いてます。

考えようによると、海から遠いエリアで魚を食べたい人達にとってはとても重要な食材でもあります。
盛んに養殖されてる雷魚ですが、普通に川にも住んでます。タイの東北地方ではこの雷魚をなんと猟銃で捕ります。雷魚は肺魚といって、えら呼吸もしますが、口呼吸もするため、水面に浮かんで来て口を出して直接呼吸をします。
それを狙って猟銃で撃つのです。初めて見た時はかなりびっくりしました。

さて話がそれましたが、この数年前から屋台で白い物体が炭火で焼かれてるのを良く見るようになりました。
なんだろうな?と思ってよーくみると、これがなんと雷魚の塩姿焼きでした。口からなんか草を生やして炭火の上でこんがり焼かれてます。
さてさて実際どのようなものなのか?
日本は丁度秋でサンマや鯖の美味しい季節ですね。
塩焼きがやっぱ一番美味しいですよね(異論は当然認めます)。
ではその塩焼きに対抗してこちらタイの屋台によく並んでいる雷魚の塩焼きをご紹介。

そもそも塩焼きというのはこぅ手でぱっぱっと魚にフッて15分ぐらい置いてから焼いて食べる物ですが、こちらの雷魚さんは大体30cm~50cmぐらいのサイズの魚を、まず荒塩がたっぷり入ったボールに鱗もとらず、生きている雷魚さんの頭を引っぱたき、気絶させ、これでもか!!というほど荒塩を着せます。

本当に塩を振るんじゃなくて着せるというのがふさわしいぐらいです。
内臓ははずしてる店とそのままの店があります。
その後口から串を刺し、日本のヨモギに似てる草を束にして口からたっぷり詰め込みます。
店によってはこのヨモギのなかに東南アジア有名なスパイス(レモングラス、パクチー、にんにく等)をみじん切りにした物も詰め込むようです。
で、後はそのまま炭火でじっくり焼き上げます。これが結構時間がかかります。
レストランでお勧め料理として紹介されても待つだけなので、屋台ですでに何本か焼きあがってる物を食べる方がよろしいかと。

さて、焼きあがるとお店の方で皮を背開きでベリベリベリ!と剥いで皿に乗ってやってきます。
その時、唐辛子、にんにく、パクチー、ナムプラーで作られたタイ・シーフード用タレが一緒に来ます。
折角の塩焼きだから皮も食べたいところですが、塩の量、そしてなにより鱗もはいで無いのでそこは諦めが肝心。
肝心の身ですが。白身ですこし歯ごたえがあり魚の分際でちょっと噛み締める必要がありますが、川魚独特の臭みも無くかなり美味の類です。
でもお腹側は店によって臓物を取ってないので臭みがあったりするので、避けたほうが良いかもしれません。
一人では全部食べる事は出来ないでしょうから、2~3名のご友人とご一緒に食べるのがよろしいかと。

余談ですが私中学生からタイにおりまして。タイ国日本人学校に通ってました。
学校には池がありました。学校側はそこに金魚を入れていたのですが、どこからともなく雷魚がいつの間にか住み着いてしまい、当然金魚は全滅。
われわれ在学生には雷魚ってのはピラニアより怖い存在でした。

文: おもだか まさし

アジア旨いもの紀行


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