ロッティ・サイマイ - Asia Production Service Co.,Ltd.

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ロッティ・サイマイ

ロッティ・サイマイ

日本は都道府県全部にそれなりに名物料理がありますね。無くてもその地方独特の味付けとか差別化が図られてると思います。
じゃぁタイはどうなのか?というと、どうも各県の名物料理の差別化というのはあまり行なわれて無いっポイですね。特に意外というか考えれば当たり前とでもいうか、タイ王国首都バンコクにはバンコクの名物料理というのがありません。ありません、は言いすぎで、ラーマ王朝の王宮料理はとりあえず名物料理なのかもしれませんが、これってどーなんでしょう・・・

唐突ですがここらで、甘い物の事でも書いてみようと思います。上記各県の名物料理という事で今回はBKK市内から車で一時間ほど北上する、アユタヤの名物菓子をご紹介。
その名はタイ語でロッティ・サイマイ。
ロッティはインド方面にある小麦粉で作った平らな薄いパンを意味します。サイマイは蚕(カイコ)の糸を意味する言葉になります。アユタヤのとある道にこれを販売するお店がずらーっと並んでいます。

どんなお菓子なのかというと、薄く焼いた小麦粉のクレープのようなものに糸の様に細くされた砂糖を巻いて食べます。
小麦粉のネタは耳たぶぐらいの柔らかさに練り上げて、それを手でソフトボールより大きめに取り、熱くした鉄板にポヨーン・べちぃ!と直接手で貼り付けてぐにぐに丸く、ものすごく薄く伸ばして焼き上げます。しかも片面しか焼きません。
ぺっちん!ぐにぐに・・・ぺろん!と時間にして40秒ぐらいですか。
これでロッティの部分が完成します。

このね、皮はいつでも実演して焼いてるので誰でも見ることが出来るんですよ。問題はこの皮に包む糸の様になったお砂糖君です。お店ではデカいビニール袋の中にデーン!と入っているこの砂糖。どーやって作るのか一瞬謎です。しかし、勘の良い方やお料理好きの方はすぐに想像がつく事でしょう。

取材で見た作り方ですが、材料は小麦粉、椰子油、これをまず香ばしく炒ります。
あれですなルーを作る方法です。
そして、別の鍋で水約1リットル程に砂糖3kgをぶち込んで煮詰めます。
これはベッコウ飴の作り方ですな。砂糖が煮詰まったら、こぅ水飴状態になる程度に冷やします。
そして、ここで、糸砂糖作りの職人さんが登場。大きなブリキの机の上にルーを流し込み、水飴も置いて手作業でこの2つを混ぜます。うどんをこねる様にして、ある程度の弾力が出てきたら両手に長さ20cmぐらいの木の棒を持ち、この砂糖とルーが混ざった物体を伸ばす!畳む!伸ばす!畳む!と繰り返して行きます。

そーです、実は手打ちラーメンの麺の作り方そのものです。
麺と違うのは、硬度がこっちの砂糖のほうがはるかにあり、かなり力が必要な点です。
後で職人さんに聞いたところ、力も必要だがタイミングの方が大事だとの事。
畳んで伸ばしての繰り返しにより、本当に絹の糸の用に細く仕上がった砂糖は感動ものです。
余熱を冷まして袋に入れて店頭に並べます。

で、この砂糖を先ほどのロッティーに自分の好みの量を入れて巻いてあんぐりと食べます。ちなみにロッティー部分だけ食べると隠し味どころじゃない塩辛さでした。甘さと塩辛さの相乗効果でより美味しくなるんですかね。

昔はロッティーはパンの味そのもの、砂糖の部分はココナッツの香りがちょっとするかな?程度の実にシンプルなものでしたが、最近はバナナ味、オレンジ味、グレープ味等バラエティーが増えています。

アユタヤに行った際は是非お試し下さい。
甘党の方は、通常砂糖があまって皮が先になくなる事が多いのですが是非先に砂糖が無くなるほど巻き込んでみて下さい。辛党の方、ロッティーの部分だけ食べてみてはどうでしょうか?





文:おもだか まさし  写真:トン

アジア旨いもの紀行


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