食べる
昔から中国人は4つ足を持つものなら、机、椅子以外何でも食べる、と言われているように、人間とは、実に何でもたべる生き物だと思う。ここ東南アジアの人たちも同じで、彼らは4つ足以外のものも食べる。
例えば、カンボジアのコンポン・トムには、蜘蛛獲り名人なる人物がいて、ジャングルの土深くに潜る大きな土蜘蛛を、ものの見事に見つけ出し生け捕る。正に神業的名人だ。
その蜘蛛をガーリックと一緒に油で揚げ、市場などで売るのだが、原型を気にしなければ、蟹、海老類の味がしてなかなかの珍味で、良く売れている。
ところが、この揚げ土蜘蛛、昔からカンボジア人の常食であったわけではなく、生けるものなら何でも口にしたという、かの恐怖のポルポト(クメール・ルージュ)時代の貴重な蛋白供給源とされていたものだ。
それが平和になった今日、なお珍味として現地の人々から好まれているという。
ただ残念なのは、使い回された油ではなく、もう少し良質の油で揚げればもっと美味しかろうにと思うのだが。
「何を贅沢なことを言ってるのよ、揚げてあるだけでもましなのに。あの時代は、生で食べたんだからね」と、おばちゃんに怒られ、「ハイ、すんまへん!」でした。
写真・文: Mac