愛国心
タイ国は立憲君主王国である。毎朝8時と夕刻6時にはラジオ、テレビは、全ての番組放送を中断し国歌を流すと同時に、この時間は、各官庁、軍、警察、学校、ホテル、工場などいたるところに毎日掲げられている国旗の掲揚時間なのである。
時報とともに、国歌がどこにいても聞こえてくる。
大概の街行く人々は、立ち止まり、何かの作業をしている人は、その手を止め、駅の待合室やバス停のベンチに腰掛けている人、公園で寝そべっている人は起き上がり、不動の姿勢で国歌を聞く。
その中には在留の外国人、観光客などもいるが、何故かそれは欧米人で東洋人は少ない。
終わると軽く頭をたれ常に戻るのである。
しかし、これは強制ではないので、さすがに人々の生活がインターナショナル化し忙しくなってきた昨今の都心部では少なくなった。とはいえ、タイの人々は、この毎日の行事から自分がタイの国民であることの自覚と誇りが育まれ、そこから生まれる愛国心により、国家的難事に対し、その力を発揮するのである。国民が自分の国を愛せなくなったら、その国は終わりだと思う。
写真: Tong 文: おもだか まさし