ベトナム人はスープなしでは食事ができないのではないかと訝るほど食卓には必ず何らかのスープがのります。
その中で「カインチュア」は、南ベトナム料理を代表するスープといってもいいでしょう。主に魚を使うカインチュアが有名です。
このスープは、世界3大スープといわれるトムヤムクンからエビの代わりに魚をいれ唐辛子を抜いて砂糖を入れたものと考えていただいていいかもしれません。
現地で食べるとパイナップルがたくさん表面に浮いていて、それをかき分けると大きなナマズの頭があらわれるので、初めての人はびっくりします。しかし、これはナマズではなく「ブンラオ」と呼ばれているナマズの仲間です。
ブンラオは「幻のナマズ」と呼ばれ脂が乗っている魚なのですが、日本では入手不可能なので、日本で作る時は、はまちとか鰤をつかって作るのが良いかもしれません。それとうなぎもいけるかもしれません。このスープの酸味はタマリンドの実を使って出しています。
このタマリンドが手に入らなければ、米酢で十分です。
甘味はサトウキビとパイナップルを一緒に煮込んで出しているのですが、この味には結構好き嫌いがあると思いますので、お砂糖のほうがよいと思います。
これをぐつぐつ煮込んでニョクマム(魚醤)で味を調えて甘酸っぱいスープが出来たら完成です。
仕上げにライムでも搾ればなお一層美味しく食べられます。現地の人たちは、魚は取り出してニョクマムにちょんちょんと漬けて食べ、スープはこれをご飯にかけてお茶漬けのように女性でも軽く2,3杯は食べるというよりも、かき込みます。
写真・文:おもだか まさし