タイ編その1 大衆レストラン
立ち並ぶ屋台を含めタイの大衆食堂に座ると、店の人が注文を取りに来る。中には沢山注文してもメモひとつとらないこともある、「全部わかってるのかな?」と不安になるが、大概の場合は見事、ちゃんと持ってくるから不思議だ。しかし、だからといって何時も安心はしておれない。勿論、注文外のものを持って来ることもままある。
が、見ていると、客は一応文句らしきことは言うが「仕方ない」と、おおかたのタイ人は、それを受け入れる。
店の人も悪びれた様子などまったくなく、実におおらかだ。
さて、食べたものの勘定だが、勘定書などというものは一切無い。
店の人が来てテーブルの上の食べ散らかした皿、下に転がるビール瓶などをチェックし数え一応紙に書いて計算らしきしぐさをして「はい!なんぼ!」とくる。
個々の料理の値段が客には分からないのだから計算違いなどというものはない。
狭い処だと隣のテーブルのビール瓶がこちらに転がり込んでいないかな、などと心配するのはせこいどこかの国の御仁だけ。
タイ人たるや、店の人が数え間違えたり見落としたものも「おっ、ラッキー」どとは考えず、ちゃんと告げ勘定をさせる。さすが仏教国だ。
写真・文: おもだか まさし