歌うおまわりさん

タイ北部の小京都チェンマイ。
四角形のお堀の内側が旧市街と呼ばれ、石畳の道路と数え切れないほどのお寺、そしてたくさんのゲストハウス（簡易ホテル）が建ち並んでいます。
毎週日曜日はメイン通りであるラチャダムヌン通りとそれに繋がる脇道が数キロにわたって歩行者通りになり、数千店の露店が出て数万人の観光客で賑わいます。

その中心部にある警察署の前に突然二人の警察官が現れました。
一人はギターを抱え、アンプとスピーカーを繋いで朗々と歌い始めたのです。
ギターの腕前と柔らかな歌声はなかなかなもの。
外国人観光客が思わず足を止め聴き入っています。
タイ人観光客は携帯電話やデジカメで写真を撮っています。
彼らの前には募金箱が置かれ、そこには「田舎の子どもやお年寄りなど恵まれない人々への寄付」と書かれていました。

それを見たタイ人観光客らが次々に、財布から小額紙幣を取り出して寄付していました。
“微笑みの国・タイ”らしいホッとさせられる一コマです。


（2011年6月　タイ・チェンマイ）

写真・文：城戸可路