ラオス・ルアンパバーン(2) ユネスコ世界遺産の町 ルアンパバーンをてくてく歩く(後編)
ルアンパバーンの象徴ともいえる「朝の托鉢」。実際には毎朝6時30分頃に始まり7時には終了する。朝早い時間は空気もきれいで暑くもなくとても快適である。メインストリートから周囲を見渡すと路地の先に景色が開けているように見えた。行ってみるとそこはメコン川の支流カーン川で竹の橋の先の山奥にも寺があるらしくオレンジ色の法衣をまとった若い僧侶達が歩いてくる。いかにも「絵」になる景色だ。一人、また一人と歩いてくるその景色に見惚れてしまった。来た道を戻り、メインストリートを越えてメコン川のほうへ行くとにぎやかな朝市があった。民家やゲストハウスが建ち並ぶ細い道の両側にビッシリと品物が並んでいるが大半は食料品の野菜、肉類、卵など。調理された「おかず」も美味しそうだ。朝市を歩いてメコン川沿いに出ると空き地になにやら地元の男達が集まっている。近づいてみると「ペタンク」というフランス生まれの球技だ。目標に鋼鉄の玉を放ってより近いものが勝つというもので、日本人には土の上のカーリングとでも言えばわかるかも。平日の午前中だというのに仕事や学校には行かないのだろうか。
ルアンパバーンはこの町の特定の何かが世界遺産なのではなく、町全体が世界遺産なのである。だからまずは町を見渡せる場所をと探すと目の前に「プーシーの丘」があった。高さ150メートルの丘に328段の石段。若者達は元気に駆け上がり、年配の観光客はのんびりと景色を楽しみながら昇り降りしている。頂上にある黄金のタート・チョムシー(仏塔)の周囲が展望台になっていて町を一望できる。木々に埋もれた町並みとメコンの流れはなかなか絶景。通常は昇ってきた石段を戻るようだが、反対側に木々の中を通る石段があった。かなり急だがこちらを使う観光客はほとんどいないのでゆっくり気をつけながら降りることにした。途中、上に水を運ぶ若い僧に出会う。これもまた修行なのだろう。
丘を下りてからルアンパバーンで一番有名なお寺「ワット・シェントーン」に行く。本堂の中は薄暗くひんやりしている。次々と入ってくるタイ人やラオス人と思しき観光客は熱心に拝み、ファランは仏像だけでなく内壁の繊細な装飾に興味を示して写真におさめている。
ところでワット・シェントーンで観光客が一番集まっていた場所、それは本堂裏だ。壁にモザイク模様で飾られた「マイ・トーン(黄金の木)」の装飾の美しさに多くの観光客が見とれていたのが印象的だった。
宿に戻る途中、ビエンチャンでもルアンパバーンでも一番コーヒーが旨いと評判のカフェ「Joma Bakery Cafe」に立ち寄り淹れたての香りを楽しむ。この店は2階でボーっとするのがお勧めだ。
ここまで歩き回ってもまだお昼前。そう、世界遺産ルアンパバーンはやはり朝の町なのである。
(写真1)お坊さんもてくてく歩く
(写真2)絵になる景色と修行僧
(写真3)ささやかな朝市だが活気がある
(写真4)プーシーの丘からの景色
(写真5)ワット・シェントーンの一番人気はここ
文・写真: 城戸可路 (ラオス・ルアンパバーン)