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ラオス・ルアンパバーン(1) ユネスコ世界遺産の町 ルアンパバーンをてくてく歩く(前編)


文と写真 城戸可路

 タイのお隣の国ラオス。数年前からファラン(欧米人)の間で「ラオスはいいよ! 素晴らしいのは景色だけじゃなくて、なんといっても人々が最高!」などと評判になっていた。以前は空港で簡単にビザが取れるとはいえ、日本人にとってミャンマー同様に何となく距離を感じる国の一つだったが、2007年1月1日からビザ無しで入国でき、15日間まで滞在できるようになった。

そのラオスで一番人気なのが1995年にユネスコ世界遺産に指定された「ルアンパバーンの町」である。以前はタイ語表記を英語に直してルアンプラバーンとも呼ばれたが、ラオス人の発音を聞くかぎりルアンパバーンが正確らしい。
 この町は14世紀に興ったラーンサーン王国(百万頭の象の意)の首都として16世紀中ごろまで栄え、その後も王宮が置かれた古都である。

 この町で有名なのは「早朝の僧侶の托鉢」であることはガイドブックにも載っている。朝もやの中を僧侶達が歩いて来る、荘厳な雰囲気あふれる写真も見たことがある。やはり早起きして実際にそれを見なければせっかく来た意味がないとばかり、6時には宿を出て町の中心部へ向かった。

日の出前で周囲はまだ真っ暗だがメインストリートのサッカリン通りには観光客が続々と集まっている。そんな中を篭が付いた天秤棒を担いだオバちゃんたちが「托鉢でこの食べ物を寄進しませんか」と迫ってくる。果物ともち米のセットで2万キップ(約60バーツ)。

6時30分頃。オレンジ色の法衣をまとった修行僧が続々と現れた。さすがに数百人の僧侶達が一列になって寄進を受ける光景は圧倒的だ。しかしふと気付いた。何かが「違う」のだ。人から聞いていた荘厳なイメージが全然ないのである。オバちゃん達にノセられた西欧人観光客は汗をかきながら寄進し、観光バスでやってきたタイ人グループにいたっては屋台でよく使う小さな椅子に座って観光ガイドが用意した供物を流れ作業のように僧侶の鉢に入れている。そしてその姿を家族や同行者がデジカメでパチパチ。
そう、これは観光地のイベント、ショーなのだ。地元の人々による生活の一部としての早朝の托鉢風景がここの最大の魅力ではなかったのか? すっかり白けてしまい、まだ続く僧侶の行列をボーっと眺めていると、遠くの方で僧侶達が路地を曲がっていくのが見えた。
「もしや寺へ戻る裏道には観光客がいないかも」と抜け道を使って走って行くと・・・。
そこにはラオスの民族服姿の祖母・娘・孫と思しき家族が、寺へ戻っていく僧侶に供物を寄進している光景があった。そしてそろそろとした足取りで去っていく僧侶の行列の後姿。
「おおっ!これだぁ!これが見たかったんだぁ」
すでに時刻は7時を回り、托鉢も終わろうとしている。ほんの一瞬でも本当の町の姿に触れることが出来て幸せな気分になった。

(写真1)タイ人らしい団体客はバスで登場

(写真2)この先に托鉢見物の超穴場が・・・

文・写真: 城戸可路  (ラオス・ルアンパバーン)