プー・パット・ポン・カリー - Asia Production Service Co.,Ltd.

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プー・パット・ポン・カリー

プー・パット・ポン・カリー

今回はタイ・カレーの王様について書いてみます。

その名は〝プー・パット・ポン・カリー〟。蟹のカレー粉炒め。
ハイ、ではこの蟹カレーはどこで食べられるかといいますと、
シーフードレストランには必ずあります。ウエイターに一言、
「プー・パット・ポン・カリー」と頼めば、「了解!」という感じでわかってくれます。

どんな料理かを紹介しますと、マッドクラブという泥蟹と呼ばれる蟹が材料として
使われることが多いです。このマッドクラブ、日本では獲れないようです。
結構大きな蟹で、甲羅の大きさは センチ平均。オスは巨大なはさみを持ち、
タイ国において「鋏殻傷」(しこうしょう)という病名?まである恐怖の武器で、
このはさみにやられるとひどいときは指が落ちます。
某爬虫類博士の話によると、ワニがこの蟹を大好きでよく狙うそうなのですが、
仮に成功すれば味噌たっぷりの蟹がその場で食べられ、失敗するとそのまま鼻の頭を
強力な爪で挟まれ、のた打ち回りすごすご退散しなくてはならないそうです。

話がそれましたが、その蟹さんを四~五人前で二~三匹使い、
贅沢に食べちゃうのがこの料理です。
今回の「プー・パット・ポン・カリー」、家庭で作る場合は生きた蟹さんを
用意するより、蟹の缶詰めを用意していただいた方が簡単ですし、何より安全です。

レストランでは、紐でぐるっと縛られた蟹さんをひっくり返して、
お腹に包丁をブスッと刺して昇天させてから料理に使います。
蟹缶が高ければ冷凍蟹肉詰め合わせとか…。
「いや、どうしても生きた蟹を使って」とおっしゃる諸兄には、
差し当たり挟まれてもあまり痛くない渡り蟹(でもやっぱり痛いが)か、
たっぷり身の詰まった毛蟹を使ってみましょうか。

まず、昇天させた蟹さん(オスでもメスでも好きな方をご用意下さい。
メスは卵がある分、身が少ないのですが)の甲羅をはがします。
甲羅のはがし方は、ひっくり返して体の真中に線が縦に走っている部分の下、
三角形をした頂点をめくってください。お尻までめくれるはずなので、底辺に力を入れ、
片手は蟹をしっかりつかんで一気にはがします。
ベリッというよりもガシャガシャという感じで殻が外れます。
この殻が外れたらもうこっちのもの。えらをはがして、適当にぶつ切りにしておきます。

中華鍋に油をひいて、ニンニクのみじん切りを入れておきます。
玉ねぎのぶつ切りもこの時に入れて火を通します。
そこにカレー粉をドバーッといれて(個人の好みの量でOK)炒めます。
玉ねぎが透明になってきたら、先程ぶつ切りにした蟹さんを入れて強火で約二分炒めます。
この時に蟹をかき回したらいけません。生臭くなるそうです。
ちなみにここまでは中火で行います。これ以降は全て強火で行います。
当然はがした甲羅もいっしょに炒めますが、カニ味噌が溶け出しちゃってもったいないと思う方は、
甲羅だけ別に湯がいて食べてしまうのも良いかもしれません。

さて、スープまたはだし汁(何でも良い)をお玉半杯ほど入れて蓋をします。
蟹に火が通ったら卵を二個ほど溶いて回しかけます。
卵に火が通る前に、ナムプラー(魚醤)とナムプリック・パオ(唐辛子、ニンニク、
海老味噌で作ったタイの醤<ジャン>)を入れ味を整えます。
なに、ナムプリックパオがなければ、その辺のスーパーで豆板醤なりコチュジャンなりを
買って来て、それで味つけすればいいのです。全体が均一になるようにかき混ぜて完成。

見かけは悪いけど、実際食べるのも大変。手はべたべたになるわ、
ぶつ切りにした蟹の殻を調理前に割っておかないと身が食べられないわ…。
普段は絶対に見逃さない足の身は、面倒になって食べないこともあります。
でもこんな贅沢な食べ方がこの蟹カレーの魅力。
味の方は抜群で、一度食べたら忘れられなくなります。

写真・文:おもだか まさし

アジア旨いもの紀行


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